今回は、猫の「食べなくて困る」についてお話します。よく猫は気まぐれとか、好き嫌いが多いと言われます。それはなぜでしょうか。
猫は本来、単独で狩りをする肉食動物です。いつでも素早く動けるように、胃が小さく一度にたくさんの食べ物を食べず、余計な食べ物でお腹を満たすわけにはいきません。そのため、猫は食べ物に必要な栄養素、とくにタンパク質が十分に含まれているかどうかを見極める能力を持っています。
猫が好きな味の低タンパク質のフードと、嫌いな味の高タンパク質のフードのどちらを選ぶかをテストすると、最初は好きな味の低タンパク質のフードを選びますが、やがて嫌いな味の高タンパク質のフードばかりを選ぶようになります。つまり猫は味ではなく栄養バランスでフードを選んでいるのです。愛猫がすぐに食べ飽きてしまうフードは、タンパク質が十分に含まれていないのかもしれません。
また猫はある日突然、それまで食べていたものとは違うものを食べたくなることがあります。これは「ネオフィリア」と呼ばれる、食べるものの種類を増やすための習性だと考えられています。この場合は、それまで食べていたものに飽きたわけではなく、とにかく違うものを食べたくなるのです。普段と違う食べ物を与えると、ネオフィリアを誘発してしまうことがあるので注意が必要です。
このように、人から見ると気まぐれや好き嫌いが多いように見える猫の行動は、猫ならではの能力や習性によるものなのです。愛猫が食べなくて困っている方は、タンパク質が十分に含まれているフードを選んであげて、むやみに新しい食べ物を与えないようにすると、フードを食べてくれる可能性が高くなりますので試してみて下さい。